剣豪とフルーツの里 -熊本県球磨郡錦町-
錦町は熊本県の南部、球磨郡のやや南(人吉市の隣)に位置し、日本三大急流の一つである球磨川が東西に横断しています。この球磨川の左岸には、5月末から6月上旬にかけ、町花の「ツクシイバラ」が咲き誇り、今話題の観光スポット「山の中の海軍の町にしき ひみつ基地ミュージアム」では、戦争末期の情勢と人々の生活を肌で感じる事ができます。錦町は桃や梨の産地で有名です。また、江戸時代初期に西日本一と称された剣豪「丸目蔵人佐」が晩年を過ごした地でもあることから、「剣豪とフルーツの里」をキャッチフレーズに掲げています。ご当地グルメのホルモンと豚足が有名です。

桃や梨が並ぶ錦町の風物詩
桃が5月下旬から始まり、そして7月中旬から梨が出始め、桃は8月くらいで終わり、梨の品種は変わりながらも11月上旬まで出荷されます。錦町では梨・桃を一緒に栽培されている生産者さんは珍しくなく、道の駅や直売所で桃や梨が並ぶ光景は錦町の風物詩になっています。錦町を大きく分けると南部と北部に区分され、南部の山麓(さんろく)地帯(山のふもと部分)では、土地改良区の一連の事業により畑地に灌漑(かんがい)施設(農地に水を供給するために整備された施設)の整備がされたことにより、錦町の梨・桃の産地の発展へと繋がっています。

日本三大急流の球磨川
球磨川(くまがわ)は、熊本県南部の人吉盆地を貫流し、川辺川をはじめとする支流を併せながら、八代平野に至り八代海(不知火海)に注ぐ一級河川で、球磨川水系の本流である。熊本県内最大の川であり、最上川・富士川と並ぶ日本三大急流の一つです。錦町では北寄りに約2km隔てて球磨川が西流しており、この地域一帯が集中した水田地帯となっています。 令和2年7月豪雨災害では甚大な被害が出ましたが、自然の恩恵を受けながらも、その土地ならではの良い作物が育ちます。

球磨川のほとりに咲くツクシイバラ
九州を意味するつくし(筑紫)とイバラを合わせた名前で、南九州独特の野イバラの意味です。発見当初より非常に稀な植物と報告されています。発見場所である球磨郡あさぎり町上(旧上村)から下流側の球磨川河川では迷惑な程咲き誇った時期もありましたが、バラ栽培の土台として野生種のツクシイバラが適していたため、盗掘や河川環境の変化に伴い一時は絶滅の危険性が高くなりました。現在は住民の保護活動で年々花が増えています。 令和2年7月豪雨災害に加えてコロナ禍という事もあり、一時期は保護活動も制限がかかりましたが、現在では活動を再開しています。豪雨災害にも負けず咲き誇るツクシイバラの花は生命力が溢れています。
